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 メキシコではリュウゼツラン科に属する植物から、何種類もの蒸留酒が造られています。これらの蒸留酒は総称としてメスカルと呼ばれ、それぞれ造られた地名を冠した名前が付けられていて、その最も代表的なものが「Agave teguilana Weber war. Azul (アガベ・アスール)」の球茎から抽出する糖液を発酵蒸留させた「メスカル・デ・テキーラ」です。つまり「テキーラ」とは「メスカル」の一種なのです。 このアガベ・アスールは273種にのぼるリュウゼツラン科植物の1つであり、テキーラがこれ以外の品種を使う事は、アガベ・アスールの糖分を51%以上使用しなければならないため、まずありません。リュウゼツラン科の植物はアメリカ大陸を原産として北はノースダコダから南はボリビアやパラグアイに至る地域に分布しており、メキシコでは205種が生育、その内の151種がメキシコ原産です。 現在テキーラと名乗れるものは「テキーラ」で、それ以外を「メスカル」と認識されている帰来がありますが、メスカルとはメキシコ公式規格(NOM)に従い「メキシコメスカル品質規制委員会(COMERCAM)」の下で原産地名称の認定を受け、以下の8州で収穫されたアガベを使い同地域内で製造されたものだけが相当します。

1. オアハカ州
2. ゲレロ州
3. グアナファート州
4. サン・ルイス・ポトシ州
5. サカテカス州
6. ドゥランゴタマウリパス州
7. タマウリパス州
8. ミチョアカン州

 また使用されるアガベはアガベ・アスールではなく、「マンソ」「エステパディン」「アロケンセ」「トバラ」等の計6種です。

 メスカルがテキーラと大きく違うのはスモーキーな香りと味で、特に南部のオアハカ州で伝統的に造られているものに多くその特徴を感じます。それは製造工程の違いに由来していて収穫されたピニャ(アガベの球茎部分)のでんぷん質を糖化させるために加熱調理する際、テキーラは蒸し揚げるのに対してメスカルは「タテマド」と言う擂り鉢状の釜でアガベの葉や炭等を燃やし直火で焼き上げる過程で生み出されるものです。しかしながら今では蒸している釜の中に煙を入れて香り付けをしている所もある様です。

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