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プロプリエテール

 ウイスキーにシングルモルトがある様に、ブランデーの世界にもシングルと呼べるものがあります。AOC(原産地管理呼称)に拠って規定されたコニャックでは、生産量全体の約8割を5大メーカー(ヘネシー マーテル レミーマルタン クルボアジェ カミュ)が生産しています。これら大手ネゴシアンは自社畑からの収穫で造られる原酒の量だけでは不足するので、多数の葡萄農家や蒸留所と契約して確保した材料で補っています。そのために幾つもの原酒をブレンドして自社ブランドを作り上げる結果は当然の事であり、ただそれはスコッチのブレンデットウイスキーを例に挙げるまでもなく、美味しさを否定する事由ではありません。むしろその技術に拠って得られる芸術的なまでの芳醇な酒質こそが、コニャックの醍醐味であるとも言えます。

 けれどもごく少数ではありますが、モルトウイスキーの様に単一蒸留所だけで造られるシングルコニャックと呼べるタイプのものが存在します。ウイスキーメーカーは大概大麦の生産までを製造の範囲とはしていませんが、コニャックの場合は葡萄の自家栽培、自家醸造、自家蒸留、自家熟成、自家瓶詰、つまりは製造工程の全てを自ら手掛ける生産者であり、であるからこそ造り手の意志が反映し管理が行き届くより繊細で表情豊かに仕上がり、それは大量に出回る有名なコニャックとは違う味わいに巡り合う機会となるでしょう。

 なお、当店では生産される全てがプロプリエテールでなくても、その製品自体がそう完結している場合も紹介しております。


アーリーランデッド

 コニャック地方で蒸留酒が造られ出したのは、16世紀のオランダ人が本国で製造するより便利だとして委託したのが最初で、それがルイ14世の保護下に発展して行くのですが、世界的な評価を得られる要因の1つには17世紀から18世紀末かけて大口顧客となったイギリス人の貢献や、イギリス地方出身者に拠るコニャックメーカーの設立が無視出来ません。1717年のジャン・マーテル、1765年のリチャード・ヘネシーにジャルナックからは1817年にトーマス・ハイン等が創業します。

 ところで早期上陸の場所とはイギリスを示し、コニャック地方で樽詰した原酒を熟成に必要な適度の気温と湿度が最良なロンドンのテムズ川沿いの倉庫で熟成させる事をアーリーランデッドと言います。この手間の掛かる工程はやはりイギリス人の介在なくしては確立されなかったでしょう。上質な年の葡萄を最高の状態で熟成を目指すために、コニャックでは珍しいヴィンテージ品でそのために単一樽であるケースが多く、樽出の状態で楽しめる場合もあります。

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